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「ちょっと!勝手になにやってるのよ!」 ルイズがワムウに喚き散らす。 ワムウは顔色一つ変えずに返す。 「あちらが申し込んできた決闘だろう?受けないで断れとでも言うのか?この世界にも決闘で優劣を決める風習があるとはな。 魔法使いとやらの能力もまだわかりきっていない、あの小僧で試させて貰おう。それとも、断れとでも言うのか?」 「断ってあたりまえでしょ!あんた、平民が貴族にかなう…」 ルイズは彼の戦闘能力を思い出す。 「そ、その、殺したり食ったりしちゃだめよ?」 「……」 ワムウは無言で返す。 「さあ、ヴェストリの広場とはどこだ、案内しろ。お前がしないならその辺の人間どもでも構わないがな」 周りの生徒たちはそそくさと出て行く。昼時の食堂だというのに一気に閑散とする。マルトー涙目だ。 ため息をついてルイズはヴェストリの広場へ向かい始めた。 「さあ、こっちよ。もう一度言っておくけど、私以外の人間も殺したりしちゃだめよ? 貴族を殺したりしたら、どうなるかわからないし、知らないからねッ!」 * * * ワムウが来る前のヴェストリの広場。既に野次馬が集まっている。 涙を流すモンモンラシーと胸を張るギーシュ。 「モンモンラシー、心配するな!君の愛の結晶を壊した野蛮な亜人は僕が退治してあげよう!」 「違うわよ!あんな香水いつだって作ってあげるわよ!でもね、あの亜人はね!その辺の使い魔とは段違いなのよ!」 召還したときのクラスにいたモンモンラシーが涙声で力説する。 「所詮『ゼロ』の使い魔だろ?大体、ドラゴンやエルフクラスの亜人ならともかく、魔法も使えない使い魔に『ドット』とはいえメイジの 僕が負けると思っているのかい?それは心外だな、モンモンラシー。心配しないで君は見守っててくれたまえ」 「あ、あのね!あの亜人はね!トライアングルはあるはずのコルベール先生のファイヤー・ボールを片手でかき消したのよ!」 「ははは、あの禿の昼行灯先生だ…えええええええッ!」 ギーシュの顔が青ざめる。 「そうよ!魔法を吸い取る能力とかあるかもしれないわよ!もしかすると新種のエルフかも知れないわ!ああ、恐ろしい」 「ちょ、ちょっと待ってくれよ、もう僕は決闘の約束してしまったよ?ど、どうすればいいんだあああ!」 「諦めて謝りなさい、いくらなんでも謝れば許してくれるわよ……たぶん」 「今たぶんって言ったなッ!?たぶん!?……それに、謝ることなんかできないよ!なんたって僕は青銅のギーシュ、グラモン家の男として! 決闘で背を向けることは許されない!今考えることは、あの使い魔にどうやって勝つかだ!モンモンラシー、知ってることを教えてくれ!」 「はあ、あんたには何言ってもわからないみたいね……ケガならできる限り私が手当てならしてあげるから、絶対に…死なないでよ?まずあいつはね……」 * * * ヴェストリの広場にワムウが堂々と入ってくる。 遅れてルイズ。 「よよよよよよよく来たな!にに、逃げずに来たことは、ほほほほ誉めてやろうじゃないか!で、でも今なら逃げたかったら逃げてもいいぞ!」 ビビりまくりのギーシュ。 対してワムウは初対面の野次馬たちの野次をものともせず、怯むどころかむしろ風格さえ感じさせる。 「御託はいい、お前が逃げないのならば決闘の開始だ。決闘のルールはどうする?ナイフエッジデスマッチでも古代騎馬戦でもチェーン首輪デスマッチでも構わん… と言いたい所だが、生憎、ご主人の命令で殺すなと言われているからな、デスマッチはできなさそうだ。最も貴様が望むなら、構わないがな」 ギーシュは殺すなという命令に従っていると聞いて少し顔色を戻す。 「…もっとも、『不慮の事故』は決闘にはよくあることだがな」 ギーシュの顔色が再び青くなる。 (こ、こうなったら奥の手しかない…!) ギーシュは決心を固める。 「決闘のルールはッ!グラモン家に伝わるルール!『ナイトウィッシュ(騎士の願望)』で執り行うッ!」 そのルールを聞いて青色の髪の小柄な少女が反応する。 「『ナイトウィッシュ』!?」 「知っているのタバサ?」 『ナイトウィッシュ』とは 現在から遡るころ約2世紀前にトリステイン王国周辺で最も繁栄した決闘法である。そのころのトリステインでは魔法騎士の 全盛期でありながらその魔法騎士たちの経済状況が『タルブの悲劇』により困窮している時期であった。そのため彼ら騎士の中には 剣と杖両方持っていない者が少なくなく、片方の武器しか持たないものが普通の決闘法ではどうしても不利になってしまう。そのため 剣か杖どちらかを選び、その選んだ方の武器だけを持ちそれを先に落としたほうが負けだという非常に単純明快な決闘法である。この 決闘法の流行した中期には騎士の名誉であり象徴でもある剣と杖どちらか片方を落とすということで、落下した場合騎士が生きるか死ぬか ちょうど半々の割合である高さ4.8メイルの円盤状のプレートの上で行い、負けたほうは即座にそのプレートから落ちると定められて いた。この決闘法で円盤から落ちたものは死なないまでも非常につらい苦しみを味わうことから4.8メイルの4と8の数をとって 非常に苦しいことである『四苦八苦』の語源になっている。 現在ではこの風習は廃れているが、タルブ周辺で行われている剣も杖も持たない平民の間で素手で相手を突きとすか倒すことを目指す 『アフガンコウクウスモウ』のルーツではないかという研究が進んでいる。 (出典 ガリア書房刊「中世 18人の名騎士達」より) 「よ、要するに、相手の持ってる杖か剣を叩き落すなりなんなりすればいい、ってことね」 タバサと呼ばれた少女は無言でうなずく。 タバサが説明している間にワムウへの説明も済んだようだ。 「僕は魔法使いだ!よって、僕は杖を選ばせて貰おう。君は剣で構わないかね?」 「ああ、よかろう」 (ま、まずは第一関門突破だ!モンモンラシーの言う話では彼の身体能力は異常!それならば隙の大きくなる剣を持たせれば 動きも少しは落ちるだろう。多少リーチが長くなるが、魔法使いの側のほうがもともとリーチは非常に長い! 接近されるまで僕のワルキューレで時間を稼いで、接近をされたならば『奥の手』で奴を怯ませる! あの巨体を倒せ、と言われたら無理だけれども怯ませることさえできればッ!接近している状態ならば剣を落とすくらいは可能ッ!) 「開始の合図は?」 ワムウが問い掛ける。 「あと数分で鐘が鳴る。鳴り始めたら決闘開始だ!剣を受け取れ!」 * * * (ふむ、『ナイトウィッシュ』か、片手が塞がってしまっていて神砂嵐が放てん……それに、いくらここの太陽光線が 弱いからといって、真昼間にはさすがに調子が悪い。神砂嵐は夜専用、と見てかまわんだろうな。だが、波紋戦士どころか 挙動を見る上戦闘のセンスも、経験ももっていないようだ。そんな小僧が多少魔法使ってきたところで、ハンデを背負っているとは言え 負けるとなれば今まで向かってきた誇り高き波紋戦士たちに申し訳がたたんな……これだけの人前だ、食うという能力を晒すことは この先、非常に不利なものがあるかもしれんな。まだ魔法についてはわからんことも多い、とりあえずあの程度の相手ならば 主人の約束を守ってもいいだろう…事故の責任や面倒まではみれんがな……) 「開始の合図は?」 緊張している様子のギーシュにワムウが問い掛ける。 「あと数分で鐘が鳴る。鳴り始めたら決闘開始だ!剣を受け取れ!」 虚勢を張っているのがワムウにはわかる。投げてよこされた剣を見るためにつかむ。 (どれどれ、ナマクラというところか、!?なんだ、左手の甲が光っている…体が軽いぞッ!これは、まるで太陽を浴びていないかのようだッ! 片手が塞がっているために神砂嵐は放てんが…これが『契約』とやらの影響か?条件はまだはっきりとはしていないが…ついでにこの能力も試させてもらおう) 数時間にも感じるようなピンと張り詰めた空気が続く。 そして、学校の鐘が低い音を響かせた。 「ワルキューレッ!」 ギーシュが手を広げたゴーレムをワムウの前に出現させる。 「ギーシュ、あんな短い時間でゴーレムを出せるのか!?」 「小さくて青銅とはいえ、一瞬であの位置にゴーレムを出すなんてトライアングルでも難しいぞ!」 (ふふ、驚くのも無理はない!バカ正直に決闘開始の時間なんて誰が待つか!開始前に地面の中でワルキューレを錬金しておいたんだ! 地表のゴーレムを一瞬で出現させるくらいならわけはないッ!) 「ギーシュってかっけーなー でもゴーレムがいちげきで吹っ飛んで いったいどうなるんだろう ギーシュはおれのダチ」 ワムウが剣を持っていない左手でワルキューレを吹き飛ばした。腹の位置には無残にも穴があいていた。 「なにいいいいいィイイイッ!」 一撃で粉砕されたギーシュが驚きの声をあげる。 「ふむ、中身が詰まっていれば少々手ごたえがあるかと思ったが、外だけのブリキ人形か。人形ならアジアで出会った『オートマータ』の方が まだ手ごたえがあったぞッ!」 ワムウの近くに青銅の粉が舞う。 (なんだあの化け物はァアアアアッ!一体目で数十秒稼ぐつもりがァアアアッ!ワルキューレの余裕はなさそうだ…… しょうがない、作戦変更だ、多少心もとないが2体目は『アレ』でいくッ!) 「もう一回だ!ワルキューレッ!」 「バカの一つ覚えか?もう一度破壊してやるぞッ!」 ワムウが左手を振ろうとする、しかしその瞬間! ワルキューレの肩が輝く! 「モンモンラシーの話からお前が脱出よりまずコルベール先生を倒そうとしたことはわかっている!あれだけの戦闘センスなら囲まれた 状態よりまずは広い場所に出てから戦おうとするのは当然の考え!なぜそれをしなかったか!それは外に出てからでは倒す自信がなかったからだ! 『太陽の光』に弱い!この仮説は正しかったようだなッ!」 肩が反射した光をもろに浴び波長の弱い光といえワムウは怯んだ。 「MMWWWWWWWW!!!」 「剣ごと右肩もらったァーーッ!」 動きは鈍重とはいえここまで接近した状態でのパンチをかわせるわけがない。そんな常識にギーシュはとらわれていた。 しかし、『戦闘の天才』ワムウは伊達ではなかった。 2体目のゴーレムの破片がワムウの周りに降りかかった。 ゴーレムが振りかぶった瞬間、その拳が影になったのだ。 「どうした?もう終わりか?」 2体目を顔色も変えずに破壊したワムウがゆっくりと歩いてくる。 「もうやめてッ!」 観戦していたモンモンラシーが涙声でギーシュに向かって叫ぶ。 「ギーシュ、少なくとも今のあなたじゃかなわないわ!おとなしく降参しなさい!死んだらどうにもならないのよ! 決闘である以上、負けを認めればケガをさせることは認められないわ!」 ギーシュが振り向いて静かに話す。 「モンモンラシー、心配してくれることはうれしいけれど、それはできないね。 自分から申し込んだ決闘で命の危険を冒す前から降参するなんて、グラモン家として、いや男としてできないねッ! ましてや好きな女の子の前ではッ!」 叫ぶが早いか、走るのが早いか。 ギーシュはワムウに向かって突っ込んでいく。 ギーシュに向かって歩くのやめたワムウの眼前に立つ。 「正真正銘…最後のワルキューレ達だ!もう小細工はしない!」 ゴーレムが4体出現する。 「4方向からだッ!これはかわせないだろう!」 一瞬であった。ゴーレムが粉みじんになるのは。 後ろのゴーレム2体を回し蹴りで、その回転をそのまま利用して左フックで前方のゴーレム2体も破壊。 ギーシュの精神力を込めた人形は、青銅のかけらへと変わりワムウの周りに散った。 「これで最後だといったな、命令を受けている以上殺すのも気が進まんし今のお前にはそこの女がいったように殺す価値もない。 今杖を置けば降伏を認めてやる。もっとも、これだけの戦力差を見せられて臆さなかったお前には少々興味があるが、 しょせんまだ坊主だ。大人しく負けを認めろ。これ以上続けるようならば、容赦はせんぞ」 ギーシュが顔色を変える。 「ほ、ほんとうに許してくれるのか?」 一瞬で虎の子のワルキューレをやられたからか、決闘前のおびえた表情に戻っている。 「ああ、とりあえず今はな」 しかし、ギーシュ顔色を戻した。 「だが断る。最後といったのはワルキューレだッ!まだ僕の精神力はつきていないぞッ!この距離が、すごくいいッ!『錬金』!」 ワムウを中心に爆発する。 ギーシュが錬金したのはゴーレムの残骸であった。 ゴーレムの残骸をバラバラにし、粉にすることによって『粉塵爆発』を起こしたのだ! 青銅はもともと融点が低く、加工しやすいために『青銅器時代』さえおこしたこともある金属。 晴れ晴れとしていたヴェストリの広場であれだけの青銅の粉が舞えば粉塵爆発は当然の結果ッ! わざわざ壊されるかのようにワムウのごく近くにワルキューレを出現させていたのはこれが狙いだったのだ! (モンモンラシーから聞いている!コルベール先生のファイヤーボールは簡単にかき消された以上、僕のワルキューレに多少小細工を 弄したところで適う訳がない!しかし、なぜかゼロのルイズの爆発魔法を食らった途端、彼は怯んだというのだ! つまり、彼は『爆発』に弱い!間違いない!怯んでいる隙に剣を…) 着眼点はよかった。この距離ならば爆発に多少巻き込まれることも覚悟していた。彼ほど格上に善戦できるドットメイジは この学院にはいないだろう。 しかし、その仮説は残念ながら間違っていた。 「むぐぁ!」 剣を奪い取ろうとしたギーシュの腹にパンチが入り、数メイル吹っ飛ぶ。 立ち上がろうした時には既にワムウは近づいており、首根っこをつかまれ、持ち上げられる。 怯んでいた様子はない。体を見ると多少ほこりでよごれているものの、火傷どころかかすり傷すら負っていない。 ギーシュは観念したかのように目をつぶり、杖を手から離した。 (さよなら、父さん、母さん、友人たち、そしてモンモンラシー。降伏を断った以上、彼は僕を許さないだろうし…許すべきではない…) 低い音とともに地面に叩きつけられる。 ギーシュの体は地面に横たわった。 「ハッ!?いき、いぎでる?」 ワムウはすでに出口方向へ歩き出していた。 「亜人…じゃなかった…ワムウ、なぜ僕を殺さなかった?情けか?命令に従ったのか?」 ワムウは振り向かずに語った。 「貴様のちっぽけな根性…そのタフさがある戦士に似ていたものでな……奴とやったときと違いケガなどは負わなかった…しかしその ちっぽけな根性に免じて1度目は見逃してやる…だが、期限までに奴に並ぶほどの戦士になることを期待してやろう……」 「し、しかし、僕はどう考えても正々堂々と戦ったとは言えないぞ!自分に都合のいいようなルールを選び、君の弱点を狙った。 現に、君はその剣を使わなかったじゃないか!こんなアンフェアな戦いで完敗したんだぞ、僕は!」 「俺の…好敵手…俺を倒した奴もそんな奴だった…正々堂々、真っ向から攻めるなど考えもしないだろうな、奴なら。 弱点を狙って当然、狙わない奴がマヌケなのさといったしたり顔でレース開始前に車輪の下に瓦礫を置いて妨害するような奴だ。 だが、奴は誇り高き戦士であった。戦いを汚さない、それはお前も同じだ。決して人間のようにセンチになったのではない… だが、まだこちらの世界を知らん。好敵手の候補が増えるのは俺としても本望だ」 振り向いていた首を戻し、再度歩き出す。 「もう一つだけ、聞かせてくれ。……『期限』はいつだい?」 ワムウは振り向かずに言った。 「指輪がないからな、お前が死ぬか、俺が死ぬまでで構わん」 ワムウは、歩き去っていった。 ――ギーシュ、完全敗北。この後気を失った。複雑骨折により全治数週間の模様。再起可能 ――ワムウ、無傷。 あーん!ギーシュ様が負けた! ギーシュさまよいしょ本&ギーシュさまF.Cつくろー!って思ってたのに… くすん…美形はかませ犬だ… ・゚・(ノД`)・゚・うっうっう…ひどいよお…ふえーん!! この間「今、時代はギーシュだ!」の葉書を出してまだ2週間じゃないですか! どーして、どーして!?あれで終わり!?嘘でしょ!? 信じられないよおっあんなワムウごときに負けるなんてっ!! ジョジョと差がありすぎるわっ!!戦士になりますよね?ね?ね? ……泣いてやるぅ・゚・(ノД`)・゚・ 私はあのおそろしく鈍い彼が(たとえド女好きでもさ!ヘン!)大好きだったんですよっ!! ギーシュさまあっ!死んじゃ嫌だああああああっ!! 先生のカバッ!!え~ん・゚・(ノД`)・゚・
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ディアボロがこの世界に来てから二日がたちました ルイズを起こし着替えさせて汲んできた水で顔を洗ってあげます。もちろんドッピオがやっています 「男の前で恥ずかしくないんですか?」 やってはいるが毎朝異性の裸を見るのは大半の男性にとっては余り精神的に優しくないものだ 「はぁ?男?あんた使い魔でしょ?偉そうなこと言ってないで早くしなさいよ!!」 「・・・はい」 タオルで顔を拭いてやると朝食を取りに行く 初め食事にまで制限を付けられそうになったが何とか頼み込んだ。労働の後がパン一個なんてふざけています 朝食の後は午前中の授業です ルイズが授業に出ている間に部屋の掃除をします 箒とちりとりを使いささっと済ませてしまいます。ドッピオは案外家事に適正があるんです やり始めるととまらなくなって隅から隅まで掃除をしてしまうことがあります ドッピオはそこそこのところでやめて洗濯に行きます 洗濯も二日ほどたつと慣れてきます。スキルは5ほどでしょうか 洗濯も終え、洗濯物を干すともうお昼です 「ふー・・・お昼ご飯の時間かな?」 太陽が真上にあがってきています。ドッピオはこのお昼ご飯を楽しみにしているのです 「こんにちは、マルトーさん」 「お、いらっしゃい!」 魔法学院アルヴィーズ食堂、コック長マルトーさん ルイズさんに躾と言われてパン一個しか食べさせてもらえなかったとき、賄い料理を食べさせてくれた優しい人だ 「賄いだったらもう少しで出来るからそれまで待っててくれ」 「それじゃ料理を配るのを手伝いますよ」 食堂でウェイターの真似をするのは昨日からだ 賄い料理を貰いっぱなしなのはいけないと言ってここで働かせてもらっている 「クップププ」 「ククク」 ・・・笑い声があるのは使い魔なのにこんなところで何をやっているんだ。みたいなことだろう 「・・・ドッピオさん」 「いいんですよ。シエスタさん」 笑い声をそこそこ無視して料理を配る 「・・・あの」 「はい?」 僕に話しかけたのは茶色のコートを着た女性。下級生がこういう格好をしているんだっけ 「ギーシュさまがどこにいるか分かりませんか?」 「ギーシュ?」 ・・・ああ、脱走したときにルイズさんと一緒に来た金髪の人か、食堂の中をぐるりと見渡すと・・・ 「あ、います。外のほうですね。案内しましょうか?」 「お願いします」 外に行くとギーシュはこの子以外の女性と話していた まだこの子は気づいていない (・・・二股?よくないな・・改めさせたほうがいいかな) 配るために持っていた物のうちの一つ、チーズケーキを持って話しかける 「チーズケーキをお頼みの方」 「は?チーズケーキなんて頼んでないよ・・て君はミス・フランソワーズの使い魔」 「それではこちらの女性と待ち合わせの方は?」 「?!・・モンモランシー、ちょっと待っててくれるかい?」 そういうとギーシュはつれてきた子の肩をつかんで奥の茂みは行った もれ出る話を聞くとギーシュが二股をかけているのが分かって女性のほうが怒っているようだ あ、女性のほうが帰っていった ギーシュが戻ってくる 「モンモランシー、あの子はただの」 「・・・最低」 「うっ」 「・・・下劣」 「ぐっ」 「・・・絶交よ」 「なっ?!最後まで聞いてくれモンモランシー! ほら君の顔に怒りは似合わない」 二股をかけた人の末路って怖いなー 結局、ギーシュは二股をかけているのがばれて二人からふられてしまったようだ 「・・・くっ」 結構、効いたみたいだけど 「・・・・」 僕に怒りが向けられているのが気のせい・・ではないと思う 突如、ギーシュから何かを投げつけられる。手袋だ 「平民風情がこの僕に恥をかかせるとはね」 「いや、それは自分が悪いんじゃ」 「うるさい!君を叩きのめさないと気がすまない。決闘だ!」 「え?」 外の中庭、周りには大勢のギャラリーがいる どこで聞いたのか決闘と聞いて見に来た人たちだと思う 「勝負方法は単純にどちらかが負けを認めるまで、分かったかな」 「・・・つまり二股をかけた自分が悪かったと認めさせればいいんですか」 周囲から笑いが漏れる 「うるさい!君があの子をあの場に連れてこなければ万事上手くいったって言うのに・・!」 「いや、元々待ち合わせていたって聞いたんですけど」 「・・・そういえば・・ええい、あのとき見えていたはずだろう!気を使うのが常識だろう!」 「どんな常識ですか。二股かけていいなんて」 「うるさい!」 ・・何をするつもりだ 「エピタフ」 エピタフを使い未来を察知する 「なっ!」 一歩後方に下がって攻撃を回避する 「言い忘れていたけど僕は貴族だからね。魔法で戦わせて貰うよ」 目の前にいるのは青銅の鎧人形。形は・・・なんだろう? 「・・・魔法・・次、何が来る・・・」 5へ
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「…うぐぇあ…気持ち悪い……二日酔いか…?」 ポルナレフはソファから身を起こすと、よろよろと立ち上がった。 「お、ようやくお目覚めか相棒。」 「ん…ああ…あ?」 ポルナレフが首を傾げる。 「いつの間に亀の中に戻った?確かシエスタと酒を飲んでて…?」 デルフがカタカタ震え出した。 「どうした?」 「な、なななななんでもないぜ相棒。そ、そそれより早くしねーと娘っ子にまた亀取り上げられるぜ!」 「あ、ああ。」 ポルナレフはデルフを掴み取った。 「え、あ、相棒!?」 「昨日は迷惑かけたしな。それにまあなんだ。レイピアは持ち運びがな…」 相棒…!とデルフは涙した。目なんか無いけど。 (あ、あの犬ゥゥゥゥ!!) 私は亀の目の前でポルナレフが出て来るのをいまかいまかと待っていた。 (ダンス誘ってやったのに終わったらすぐに御主人様を無視してメイドと逢引ですってぇぇぇ) ちなみに昨晩の騒動の後、水のメイジによる治療を受けられず応急処置しか受けれなかった(今日の内に治癒魔法を受けに行くが。)ため、左腕骨折に加え、頭に包帯、身体のあらゆる箇所にガーゼが貼られている。いわゆる『名誉の負傷』って奴だ。 (何が「俺は帰らなければならない。だが、それまではお前の使い魔だぜ。」よ!思いっきり違う娘に着いていってんじゃない!) ポルナレフの自分に対する態度が全然気に喰わなかった。フーケの時も私を差し置いて他の二人と共に退却を提案した。 それでも見捨てず助けてくれたはいいが、御主人様である私と踊った後すぐに違う女、それもツェルプストーじゃないだけマシだが、メイド、すなわち平民と飲みだしたのである。 貴族である自分が誘われず何故あの平民が誘われなければならないのか(誘ってないbyポルナレフ)そのことが無性に腹が立った。 しかもその平民とキスをしようとしたのである。これには完全に頭に来た。別にあいつが好きという訳じゃないが、平民ごときに負けたのが悔しかったからだ。 気付いたらテーブルを二つ飛び越え、メイドの後頭部に目掛けて飛び膝蹴りを喰らわしていた。 ゴシカァン!という音と共にメイドがポルナレフと正面衝突した。メイドはゆっくりと立ち上がると、その怒り、羞恥、酒で真っ赤にした顔をこちらに向け、 「いいキックしてるぜッ!このアマッ!」 と挑発してきた。私も負けじと 「かかってきやがれッ!」と挑発仕返した。 その時私はワクワクしていた。メイドの最も強い部分が光り輝いて見えた気がした。 「いくぞ!」「私の方が!」「「最強という事を証明してくれるッ!」」 …今思い返せば最後だけ何かおかしかった気がする。 その後、私とメイドはバルコニーを破壊し尽くすまで闘った。終わった時には私もメイドも満身創痍だったし、私のドレスもメイドの服もボロボロだった。ただ、亀とポルナレフはギーシュがワルキューレを使って助け出していたため無事だった。私はギーシュに感謝した。 「よいしょ」ドゲシャ「ガミャッ!」 私は亀から出て来たポルナレフの頭を踏み付けた。ぐりぐりと。 「や、やめろ小娘ッ!」 「そんなことより御主人様に言うことがあるでしょ?ほら早くしないとどんどん強くなっていくわよ。」 「な、何の事だ!」 「あー、相棒。ひょっとしてあのメイドのことじゃね?」 「メイド…シエスタか?だがシエスタがどうした!?」 「全く、相棒はあれかい?女心が分かんないのかい?」 剣が呆れたように言った。ていうかようやく出番与えられたのね。と、そこに コンコン。 「すいません、入ってもよろしいでしょうか?ミス・ヴァリエール。」 あのメイドがやってきた。 とても歯痒い。何故ポルナレフさんは私の気持ちに気付いてくれないのだろうか? 彼がメイジであるギーシュ様をナイフ一本で倒した時、私は彼に惹かれた。メイジを倒した平民としてでなく、可能性としてでもなく、私のような何の力も持たず服従するしかない一介のメイドの為に命を省みず闘ってくれた『男性』としてだ。 彼は私よりずっと年上だろうから親や周りも反対するだろうが、それでも構わないと思っている。 それほどまでに憧れ、慕っているのに…彼は気付いてくれない。 だから常日頃一緒にいるミス・ヴァリエールが羨ましかった。御主人様と使い魔という関係でも私よりずっと長く彼と一緒にいられるのが羨ましかった。 そしてフリッグの舞踏会で二人が踊っているのを見て、ついに我慢出来なくなった。 私は同僚の子に無理を言って仕事から抜け出し、彼の元に行った。 そして… ここから記憶が無い。ただ起きたら部屋にいて頭痛がしたことからワインを飲んだに違いない。そうだとすると何かやらかしてしまったかもしれない。 そう思うとすぐにメイドの共同部屋を飛び出して謝りに行く事にした。 「ミス・ヴァリエール?いらっしゃいますか?」 「ちょっと待ってなさい。部屋を片付けるから。」 中から返事が返って来た。心なしか怒っているように聞こえる。やっぱり昨日何かやってしまってたんだ。 「あんたの愛する平民が来たわよ。犬。ああ、御主人様の部屋に呼んでまでイチャイチャしたいだなんて、どれだけ性欲あましてるんだか。」 ルイズは見下すように言った。いや、確かにシエスタはいい娘だが、別に愛しては…ってデルフよ、なぜ震えている? 「…何か貴様勘違いしているな?俺はシエスタと恋仲ではない。」 「嘘おっしゃい。だったら何で御主人様の見てる前で逢引したり、今もこうやって来てるじゃない。そんな犬にはお仕置きが…」 酷い言い掛かりだ。両方とも身に覚えが無い。あのギーシュじゃあるまいし、そのような事は絶対にしないはずだ。 「何も聞く気はないようだな…この小娘が…ッ」 「何とでも言いなさい。でも…そうねぇ『私が悪うございました。許してくださいまし、私の美しい美しい御主人様』とでも言ったら許してあげようかしら。」 「いい気になりおって…ッ」 「あー?聞こえないわよ?ほら早く言わないとこんな姿をメイドに見られるわよ?」 ぐりぐり更に踏み付けてきた。こうなったらやるしかない。 「…ゼロの癖に…」 腹に力を込める。 「この期に及んでまだ強がる気?阿呆ねぇ…まったく、おたく阿呆ねぇ…」 「生意気だぞッ!小娘がッ!」 俺は身体を海老のように反らせ、亀の中にあった足でルイズの身体を蹴り飛ばした。対メイジように身体を鍛えといて良かった。 「キャッ!」 ルイズの足が離れた隙に俺は走った。目的は窓。 「チャリオッツッ!」 窓をチャリオッツで切り裂き内側に倒す。外に誰かいたらやばいからな。 窓から飛び出すとデルフを抜いてチャリオッツの剣と共にそのまま壁に当てる。摩擦により落下速度を落とすためだ。 ガリガリと盛大に音を鳴らして地上に降り立つとすぐに走った。行き先は走りながら決めよう、と考えると何かにぶつかった。 「な、こんな所に壁が!?」 「壁じゃない!僕の使い魔のヴェルダンテだ!…ん?その声はポルナレフかい?」 この声…確かどっかで聞いたんだが、誰だっけ? 「えーと…プッチ?」 「違う!ギーシュ!ギーシュ・ド・グラモン!忘れたのかい!?昨日助けてやったというのに…」 「昨日…すまない、全然記憶に無い。昨日何があったんだ?」 「本当に覚えてないのかい?あれほどの惨事を?」 「ああ。シエスタと酒を飲んでる所までは覚えてるんだが…そこからが…」 ああ、とギーシュは天を仰いだ。あれを自分から言えというのか始祖ブリミルよ、とだけ言うと、ギーシュは丁寧に教えてくれた。 「…というわけだ。後は自分で何とかあの二人を抑えたまえ。」 それだけ言うと笑いながら去って行った。 「…デルフ、何故教えなかった?」 「だって恐かったから。」 「…」 「昨日はすいませんでした。ミス・ヴァリエール。」 メイドは入って来るなりいきなりそう言った。 「はあ?」 訳が分からなかったので話を聞いてみると昨日は酒に酔ってたらしく、そのために無礼な事をしてしまったと謝りに来たらしい。別にポルナレフに呼ばれたり、会いに来たという訳では無いみたいだ。 しかも本人いわく自分から一緒に飲もうと誘ったらしい。なんだ、全て私の勘違いじゃないか。また謝らなくちゃ…その前に探さないと! 「シエスタだっけ?頼みがあるの。一緒にポルナレフを探してちょうだい。」 「え?あ、はい!」 私とメイドは学院中を探しだした。 「相棒、何処向かってんだい?」 「厨房だ…あそこならルイズも分かるまい。」 「そんなに上手くいくかねえ?」 厨房までもう少しで着く所で見つかった。 「ミス・ヴァリエール!いました!」 いきなりの大声にギクリとし、後ろを振り向くとこちらを指差すシエスタと猛然とした勢いで突っ込んでくるルイズが見えた。 「ほら行かなかったw。」 「笑うな。」 パチンとデルフを鞘に収めると降伏するつもりで両手を挙げた。自分の直前でルイズが停止する。 「はぁ、はぁ、一体何処に行ったと思ったらこんな所にいたの…」 「ふん。今更何のようだ?何度もいうが俺は…」 「まったく、少しは弁明させなさいよ…」「?」 「あの娘から聞いたわ。あんたは本当に何も悪くなかったようね。」 おいおい今更か。 「だから…あーその…ごめんね?」 「え…ああ。」 正直、此処まで勘違いしやすい主人も考え物だ。簡単な話でも相手の主張を認めないから此処までこんがらがってしまう。だが素直に自らの過ちを認めた時の謝り方は、どこかかわいらしいものがある。娘みたいな感じの、がな。 そんな自分達をシエスタは嫉妬に駆られた目で睨みつけていて、デルフはその視線にまた震えていた。 ああ、明日からがまた不安だ。誰か俺の女難の相を取り除いてくれるスタンド使いの方、待ってます。 To Be Continued...
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*自分が書く際にイメージソングとして聞いている曲です。素直にキャラソン聞けや、って突っ込みは却下で(ぁ ルイズ メインテーマ 「Resolution」(機動新世紀ガンダムXop by ROMANTIC MODE) 「First Kiss」(ゼロの使い魔op by ICHIKO) シエスタ メインテーマ 「乙女はDo my BESTでしょ?」(舞-乙HiMEed by 菊池美香&小清水亜美) 「just be with you」(angel breath op by佐倉紗織) タバサ メインテーマ 「Crystal Energy」(舞-乙HiMEop by 栗林みな実) 「true my heart」(NurseryRhyme op by 佐倉紗織) ティファニア メインテーマ 「HONEY」(こいいろChu!Lips op by佐倉紗織) アンリエッタ メインテーマ 「スクランブル」(スクールランブルop by 堀江由衣withUNSCANDAL) アニエス メインテーマ 「夢想歌」(うたわれるもの op by Suara) 暴走用 「がちゃがちゃきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」(byMOSAIC.WAV) せんたいさんに相談も無く勝手に更新!! 需要有るかなっ?て…… ルイズ メインテーマ 「Resolution」(機動新世紀ガンダムXop by ROMANTIC MODE) 「First Kiss」(ゼロの使い魔op by ICHIKO) シエスタ メインテーマ 「乙女はDo my BESTでしょ?」(舞-乙HiMEed by 菊池美香&小清水亜美) 「just be with you」(angel breath op by佐倉紗織) タバサ メインテーマ 「Crystal Energy」(舞-乙HiMEop by 栗林みな実) 「true my heart」(NurseryRhyme op by 佐倉紗織) ティファニア メインテーマ 「HONEY」(こいいろChu!Lips op by佐倉紗織) アンリエッタ メインテーマ 「スクランブル」(スクールランブルop by 堀江由衣withUNSCANDAL) アニエス メインテーマ 「夢想歌」(うたわれるもの op by Suara) 暴走用 「がちゃがちゃきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」(byMOSAIC.WAV) http //www.nicovideo.jp/watch/sm350550 -- 名前 コメント
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この俺、ディアボロはGERの能力で永遠に死に続けることとなった 何百、いや何千死んだだろうか しかし、転機を俺は迎えた。 「ハッ?!今度は何だ?」 いつの間にか俺はまた見知らぬ所に飛ばされた 周りには黒いコートを着た集団がいる 「どこから・・・どこから襲ってくるんだ?!」 そうして戸惑っていると一人の桃色の髪をした少女が近づいてくる 「くくく来るな?!俺のそばに近寄るな!!!」 少女は訝(いぶか)しい表情をして俺に聞き取れない言語で怒鳴る 俺の目の前まで来てわけの分からない言語で言葉を発した後 「???!!!!」 俺に口付けをしてきたのだ (何か・・・いつもと違うようだぞ・・・?) 口付けをされながら俺は考えをまとめていた (GERの能力が解けたとは思えない・・・だが) いつもだったら死を迎えるのは二、三分だ だが今回はどうだ。時間は経っているが死を迎えない (まさかジョルノ自身に何かがあってGERの能力が・・・) 考えをまとめた結果は (・・・この世界には俺の救いがあるかもしれん!) 今までの自分とは思えないほどの楽観的な答えだった しばらくの間、周りは静寂としていた だが 「・・・プククッ」 その笑いから 「くくくっ」 「あっはっはっはっはっは」 「ぶーっはっはっはっはァ――――ッ」 「ちょ、ちょっと、ぷはっ、アハハハハハハハハ」 「くわははははは」 「さっすがルイズッ ぐはははは」 「平民を召喚したぞおおおお」 周りの笑いによって静寂は打ち破られた 「・・・くっ」 召喚をした張本人、ルイズは恥ずかしさで顔が真っ赤だった そして無意識にその怒りを使い魔である目の前の男にぶつけようとした 「お前!」 無作法に呼びかける。だが 「ククッハハハハックハハハハハハッ!!!」 目の前の男は突然笑い出した 「・・・ご主人様を侮辱するつもり?」 俺は嬉しさのあまり笑い出してしまった もしかするとこの先すぐに死んでしまうかもしれない だが終わりを終わらせる可能性が少しでも見えたのだ。笑わずにはいられまい 「・・・ご主人様を侮辱するつもり?」 だがその絶頂の心情を無粋にも汚すものがいた 「・・・ご主人様?」 「そうよ。貴方は私に召喚された使い魔、貴方はさっきの契約で私の使い魔になったの」 つまりこの少女によって俺は救われたのだろうか (この世界・・・スタンドとは違う力がある世界のようだな 我が野望の成就にはいつ、またチャンスがあるか分からん ならばここで我が野望を成し遂げる!) 「ちょっと聞いているの!」 主人を名乗る少女からの怒声が聞こえる (・・・今はこの者たちに合わせて世界について調べるべきか 我が野望の成就はまず世界を知らなければ) 「トゥルルルルルルルル!」 「なに?!」 それは俺自身が発した声だった 「・・主人、それを貸してくれないか?」 「え?」 それと言って指差したのはステッキだ 「・・・何に使うって言うのよ」 「なんでもいい。貸してくれないのなら」 キング・クリムゾンを出す・・・これは問題ないようだ キング・クリムゾンを使いステッキを奪う 「あ!ちょっと」 「・・・もしもし」 俺はステッキを耳と口にあててそう言った (ボス!聞こえますか!) 「・・・ドッピオ?まさかドッピオなのか?!」 (はい!・・・よく分かりませんがいつの間にかボスと意識が入れ替わっていたみたいです) ドッピオが生きている・・?あのとき死んでしまったと思ったドッピオが生きている? 「・・・よく生きていてくれたドッピオ。俺自身もこの状況についていけていない この世界について目の前にいる少女について行き、世界について調べてくれ ・・・私の可愛いドッピオ、やってくれるな?」 (はい!もちろんですボス!!) 意識が変わる。その寸前で (・・・前のときと同じくエピタフと腕を渡そう 私の可愛いドッピオ、生きていてくれてよかった) 「・・ボス・・ありがとうございます」 「・・いいかげん返してくれないかしら」 「あ、すいません」 (ドッピオ、この少女が私を・・私たちを救ってくれたようだ 利用以前に大切にしてやりたい。そう思うのだ) (・・・ボス?) (・・・忘れてくれ、ドッピオ。今のはただの戯言だ) ドッピオは少々驚いた あのボスが戯言とは言えどこんなことを言うとは思わなかったからだ (・・・僕たちを救ってくれた少女、ちゃんと礼儀を持たないといけないよな) そう決心したドッピオだった 2へ
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……ハイジョン、これは犬ですか? いいえ、これは眼鏡です。 わたしの中のジョンも眼鏡だと言っていた。 わたしも眼鏡だと思う。それ以外の何にも見えないし。 そう、眼鏡。見るからに眼鏡。誰が見ても眼鏡。眼鏡祭りだ。 わっしょい、わっしょい。あはは、うひひ。わっしょい、わっしょい。 ……ちょっと落ち着こう。冷静になろう。とりあえず手に取ってみよう。 ほうほうほほう。こりゃ立派なもんね。レンズの輝きなんて、磨き上げられた宝玉も真っ青。 パッドの可動域はかなり広めに作られてる。 蝶番も九十度以上は余裕だから、小さい人も大きい人もオッケーってわけか。 しっかしこれどういう技術使えばできるんだろう。かなりの熟練職人が練成したんだろうな。 この軽さ。かといって頑丈さを犠牲にしてるわけじゃない。 本来なら両立できないはず二つの柱がでんとそびえているわけよ。すごいね。 無理に両立してるわけじゃなくて、ごく自然にそう作られている。 この屋根を支えるにはこの太さの柱が必要ってな感じで。 そして色。この色。草原の緑と素晴らしいコントラストを描く赤。 使いようによってはかなり下品になっちゃう色なんだけど、これは違う。 炎の赤? 血の赤? 夕陽の赤? 唇の赤? 髪の赤? どれも違う。 フレームに使われた赤は、わたしが見たことのない赤だ。 地面に置かれていたせいで少し土がついていた。息を吐きかけ、ハンカチで拭く。 ああ、きれい。これはきれい。日用品じゃなくて芸術品。見てるだけでうっとりしちゃう。 でもね。 「ミスタ・コルベール」 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「もう一回召喚させてください」 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「眼鏡は使い魔になりません」 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない」 いやいやいやいや。いくらなんでも眼鏡は無いって。 「彼は……」 口に出してからおかしいことを言ったと気づいたんだろうね。 眼鏡に彼も彼女もないって。 「コホン。その眼鏡は……」 あ、ごまかした。 「ただの眼鏡かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければならない。古今東西、眼鏡を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼には君の使い魔になってもらわなくてはな」 あ、また彼って言った。 「嫌です。伝統がどうこういったってわたしは嫌です」 「だからね」 「わたしは眼鏡なんて嫌です」 「はい」 「なんだね、ミス・タバサ」 「私は眼鏡が好きです」 「君ちょっと黙っててくれないか。頼むから。……ミス・ヴァリエール。眼鏡をそう毛嫌いするもんじゃない」 毛嫌いはしてないけどね。でもねぇ。 「おいおいゼロのルイズが眼鏡召喚したぜ!」 「すごいな、俺たちにゃ到底真似できないぞ!」 ここでどかんと笑いが起きた。 あーあ、自分のことでなけりゃわたしだって笑いたいよ。 でも自分のキャラってもんがあるし、とりあえずマリコルヌ睨んどこう。 「ミスタ・コルベール。やっぱり眼鏡は使い魔になりません。眼鏡は物じゃないですか」 「いやしかし。物といえば、ゴーレムだって物なわけじゃないかね」 なるほど、一理ある。あってもやだけど。 まずいな、このまま言い負かされちゃうと本当に眼鏡使い魔にするはめになる。 そんなことになったら……そんなことになったら……まずい、まずい。まずいって。 「眼鏡はゴーレムじゃありません」 「しかしだね……」 「私は眼鏡なんか嫌です」 「私は眼鏡が好きです」 「ミス・タバサ、少しでいいから黙っていてくれ」
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(やっぱりやりすぎだったかしら…) ルイズは己の使い魔を見て考える。 食堂から出てきたあとから、ずっと元気がない『平民』 …パンナコッタ・フーゴのことを。 教室の床に座り込み、膝を抱えて譫言を呟いているばかり…。 あの食事は『主人』と『使い魔』の違いを理解させるために 用意させたのだが、それが予想以上に効いてしまっているようだった。 粗末な食事。当然不満がでてくるだろうが、そこに寛大な主人が 施しを分け与え、主従関係を強固なものにするという計画だったのだが…。 まさかあれを我慢できるだなんて誰が想像できるだろうか!? (何とかしないといけない!…のかな?) ルイズは少々複雑な感情を抱いた…。 『紫霞の使い魔』 第四話 【そいつの名は『ゼロ』】 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね」 中年の女教師 ミセス・シュヴルーズは教室を見回すと、満足そうに微笑んだ。 視線の先にはサラマンダー、バグベアー、スキュア、カラス、大ヘビ、フクロウ、 人食いリス、カタツムリの殻を背負った犬、レザーブーツを履いた猫、 耳が ケンカか なにかで 虫に喰われた葉のように 欠けている ネズミ 服が 趣味か なにかで 虫に喰われた葉のように 穴だらけの 人間。 ………人間? 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがとぼけた声で言うと、教室は笑いの渦となった。 「ゼロのルイズ!召還できないからってその辺歩いてた露出狂連れてくるなよ!」 小太りの少年がガラガラ声を張り上げて嘲りの言葉を浴びせる。 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」 ルイズが立ち上がり、『床のモノ』を指さして反論する。 当の本人は、 「ぼくのは違う…ぼくのはファッションなのに……」 別方面の中傷に対して傷つく。もはや怒る気力もないようだ。 「嘘つけ!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?ゼロのルイズ!」 「なんですって!わたしを侮辱するの!?かぜっぴきのマルコルヌ!!」 「ぼくは風上のマルコルヌだ!かぜっぴきじゃないぞ!記憶力もゼロなのか!」 「あんたなんか『かぜっぴき』で充分よ!喋らないで!風邪が移るから!」 売り言葉に買い言葉…。二人とも段々ヒートアップしてきたようだ。 「ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロ!!!」 「風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪!!!」 いつまでも続くかのように思われたケンカだが、所詮 人生は有限である。 フーゴがルイズのマントを(力なく)引っ張って、椅子に座らせ シュヴルーズがマルコルヌと一部の生徒に粘土を食べさせることで 子供じみた不毛な争いは終結した。 「どんな理由があろうとも、お友達の悪口をいってはなりません。 それでは授業を始めます」 「──このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係して───」 (コイツ随分元気になってるじゃない…) 床にいる自分の使い魔を横目で見て、ルイズは思った。 そう、フーゴはさっきの落ち込んだ様子から一変していた。 こう見えても彼の最終学歴は『中学中退』。 大体必要なことは独学で勉強したが、やはりまだまだ学びたい年頃である! それが初めて聞く事柄なら尚更だ。 窮屈な空間ではあるが、聞いた授業の内容を手帳に書き記している。 最も、書いている文字(?)はルイズにはまったく読めないが…。 それよりも まず、彼に授業内容が理解できているのだろうか? (ま、どうせメモを取ったところで無駄だけどね~) そもそも、魔法が使えるのは貴族のみ。 『平民』であるコイツが勉強したところで できるわけ… そう考えていたルイズの顔が曇り、 不意にトラウマが甦ってきた… 手が止まる。思考が止まる。時が止まる。 {{わたしは?わたしはどうなの?わたしは…}} 息が詰まる。胸が詰まる。言葉が詰まる。 {{わたしにそんなことを言える資格が…?}} 「どうかしたんですか?」 『使い魔』に声をかけられ、時が動き出した。 「大丈夫よ。なんでもないわ」 気丈に振る舞うルイズだったが、その顔色は冴えない。 「本当ですか?何処か悪いのなら…」 「そこ!授業中の私語は慎みなさい!」 中年女教師からの叱責が飛ぶ! 「「す、すみません!」」 見事にハモった。 「そうですね…それだけの余裕があるのでしたら 貴女に この『石』を『錬金』してもらいましょう。ミス・ヴァリエール」 その瞬間!鼓膜が劈くようなブーイングの嵐が巻き起こった! 「先生!『ゼロのルイズ』にやらせるなんて危険です!」 「『ゼロのルイズ』にやらせたら『終わり』って恐怖だけがあるんだよーッ!」 「おまえならできるッ!やれーッ!やるんだーッ!ルイズゥ!」 青ざめた顔で応援するヤツもいるが口の中に何かが見えた。あれも使い魔か? ハッキリ言って、フーゴには皆が何を恐れているのか解らなかった。 わかるのは彼女のあだ名が『ゼロのルイズ』だということぐらい…。 しかし、『危険』というのは一体? ルイズは少しうつむいたが、立ち上がり叫んだ! 「やります!わたし やります!」 教室に響く リンとした声。そして 絶望と落胆の声…。 されど 彼女の決心は変わらず、緊張しながらも教室の前に進んでいった フーゴの目にはその姿がとても凛々しく思えた。 そうだ。せっかく『主人』が魔法を使うのだからぼくも見て── (何コレ…?) 立ち上がったフーゴとは対称的に生徒達は全員机の下に潜り込んでいた。 二重の意味で、授業を受ける姿勢ではない。異常である。 「そんなところで何してるんですか?」 とりあえず一番近くにいた生徒に聞いてみるが… 「いいからお前も伏せろ!危ないぞ!」 …『危ない』?? 「えっ?それはどういう意…」 とりあえず言われたままに しゃがむと…! ドッッグオオオォォォォォォンンンン ギャグマンガでしか見たことがなかったような大爆発! 屈んでいたフーゴの頭を爆風がよぎった! 木片が飛び!窓ガラスが割れ!使い魔たちが暴れ出す! 「なっ!『石』が…いきなり爆発したぞ!?」 突然起きた出来事に対応し切れてないフーゴ。 まさか!?『ゼロのルイズ』というのは…!? 話していた生徒が忌々しげに口を開いた…。 「近づくなよ……『ゼロのルイズ』が『魔法』を使うとき 何者も そばにいてはならない……」 立ちこめていた爆煙がはれ、中から煤だらけになったルイズが現れた。 服はビリビリ、机はボロボロ、教師はピクリとも動いていない…。 そんな悲惨な状況を見まわした彼女の一言。 「ちょっと失敗したみたいね」 コレだけの惨事を引き起こしておいてそれはないだろう…。 いつも魔法が失敗するから『ゼロのルイズ』。 フーゴは そのあだ名の意味をようやく理解した。 そして…朧気ではあるが、自分が彼女に『召喚』された理由も…。 周りのもの全てを巻き込み、破壊尽くしておきながら 自分自身『だけは』何事もなかったかのように君臨する。 その姿は… ───彼女の可愛らしさとは縁遠いはずなのだが─── 忌まわしいほど醜い『アイツ』と重なって映った。 フーゴは痛み出した頭を押さえ、静かに呟いた…。 「…なんてこった……!」 To Be Continued…
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アナベル・ガトー(星の屑後)がルイズに召還されますた ゼロの使い魔0083サーヴァントメモリー-01 一部 『ジオンの残光』 ゼロの使い魔0083サーヴァントメモリー-02 a 二部 『撤退!ウェールズ・フリート』前編 ゼロの使い魔0083サーヴァントメモリー-02 b 二部 『撤退!ウェールズ・フリート』後編 ゼロの使い魔0083サーヴァントメモリー-03 三部 『NEUE ZIEL(新しき理想)』 関連資料 アナベル・ガトー
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ルイズが他の生徒たちを怒鳴りつけていると、教師らしい中年男性がため息をつきながら近寄ってきた。 「オホンッ!ミス・ヴァリエール・・・速やかに契約を。 時間が・・・あまりないのでね。」 「・・・ハイ、ミスタ・コルベール。そこの餓鬼、後で覚えてなさい。 それにしても貴方、ずいぶんおとなしいわね。声もあげないなんて。ま、いいわ。 ・・・我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え・・・我の使い魔となせっ!!!」 ズキュウウーンンッ!!!! スーパーフライ、アヌビス神、チープトリック・・・いずれも主を必要とし、求めていた! その能力ゆえに主を殺したものもあったが、いずれも主を求めていたのだ! 確かに例外も存在する!主の死を発動の条件とするものも存在する! しかしこのキラークイーン、断じてそのような性質のスタンドではない! ならばっ!主を失ったキラークイーンが、 この少女を新たな主とすることは極々自然なことではないだろうか!? ルイズの口付けがキラークイーンに新たな運命を与えた! 「ッ!!?」悠然と少女を見下ろしていた彼が突然震えた。 彼の左手にルーンが刻み込まれているのだ。 そう、シアーハートアタックと呼ばれていた、追尾戦車の部分に・・・。 「これはッ!?キラー・・・クイーン・・・? こいつの名前が、力が・・・言葉ではなくっ!心で理解できるっ!! そして・・・この能力!魔法ではない力!スゴイッ!スゴイけど・・・微妙にムカつくわ・・・。 これじゃあまるで私が爆破しかできないみたいじゃない・・・。」 強化能力・・・シアーハートアタック 自動追尾型爆弾戦車。基本性能、原作通り。 ルーン発動時、ちょっとガンジョーになる。 しかしもともとガンジョーなため、とくに意味はない。 ルイズ・・・どうして爆破なのよお~!!と心の中で叫んだ。 To Be Continued → 1話< 目次
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「遅いから逃げ出したのかと思っていたよミス・ヴァリエール!」 ルイズたちが着くなり、ギーシュは奇抜なポーズをとりながら挑発を始めた。 コォォォォォォという奇妙な呼吸音も聞こえる。一瞬体が光ったような気もするが目の錯覚だろう。 ギーシュがさらに人体の構造を無視したポージングを決めると、観客から歓声があがった。 「ギーシュ!あなたが侮辱した全員に謝りなさい!まず私に!そうしたら許してあげてもいいわ!」 ルイズも負けじとポージングを決めながら強気の姿勢で答える。 以前図書館で見た学術書に乗っていた「究極生物」の登場シーンの挿絵と同じポーズだ。これには観客から失笑があがった。 「許してあげる?それはこっちのセリフさ!君と、その隣の君の使い魔が僕にした侮辱を謝罪するがいい!」 そう言うとギーシュは一本のバラの花をポケットから取り出した。 「ワルキューレ!」 ギーシュが派手な仕草でバラの花を振りかざすと7体のゴーレムがギーシュの前に横一列に現れた。 「本来貴族の決闘は1対1でするものだが、僕は君の使い魔にも用がある。分けるのは面倒だ。いっぺんに来るがいい。ただし! 僕は『青銅』のギーシュ!従って青銅のゴーレム、ワルキューレ7体がお相手する!8対1になるわけだけど、よもや文句はあるまいね?」 それを聞いたルイズは疑問符を上げる。 ギーシュ+ワルキューレ×7=8は分かる。でもルイズ+ブラック・サバス=2ではないか。 足し算もできないのかこのド低脳がァーッ! と、言おうとしたルイズよりも先にギーシュが口を開いた。 「ああすまない。『ゼロ』のルイズをカウントするのを忘れていたよ。8対2。だったね」 ギーシュはバラの花の香りを嗅ぎながら、ルイズにウィンクした。 いつもならこの挑発にのっているところなのだろうが ギーシュのウィンクに寒気を覚えたルイズは幾分冷静さを取り戻すことができた。 「…………さっさと始めましょ。このままだと日が昇ってくるわ」 「フッ。覚悟は決まったようだね。行けワルキューレ!」 ギーシュのその掛け声に、2体のワルキューレが列を崩さぬまま突進してくる。 ルイズはそれを見ると冷静に、ブラック・サバスに命令を下す。 「サバス。ワルキューレを捕らえなさい!」 広場は相変わらず暗い。行こうと思えばきっとブラック・サバスは、ワルキューレを飛び越えてそのままギーシュを拘束できるはずだ。 実際ルイズはもしあの7体のワルキューレが、全部同時に襲ってきたらそうしようと考えていた。 しかし、あのキザ男はルイズたちを舐めているのだろう。今こっちに向かってきているのは2体 ……まずはこの2体を軽く撃退して驚かしてやろうという魂胆だ。 (ギーシュ!あんたが勝ち誇った時、そのときすでに敗北しているのよ!) ルイズが杖をワルキューレに向けると同時に、自分の隣で微動だにしていなかったブラック・サバスが、水中に潜っていくように地面に消えた。 このときルイズはまだ気づいていない。すでに自分が勝ち誇っていたことを。 消えたブラック・サバスは、ギーシュとルイズの立っている場所の、ちょうど中間地点に突如現れた。 予想外の出現に突進してきていたワルキューレの動きが止まり、観客から驚きの声が上がる。 ブラック・サバスが右手を上げ、ワルキューレを指差した。 観客はもちろん、ギーシュも次にブラック・サバスが何をするのか、思わず固唾を呑んで見守ってしまう。 「チャンスをやろう!」 ブラック・サバスは高らかに宣言した。 その言葉にルイズは思わずがっくりと膝をつき、それ以外の者は何がなんだかという顔で見ている。 「お前にh「いいから!かっこつけてないでさっさと行きなさい!」」 ブラック・サバスがルイズの方を向く。ルイズは腰に手をあて、目で「さっさと行きなさい」と意志を送る。 すると予備動作なくブラック・サバスがワルキューレに突撃していく。 それに反応するように、キレイに並んでいた2体のワルキューレのうち、右側のほうが槍を片手に立ち向かってくる。 両者の距離があっという間に縮む。あと数歩と言うところでワルキューレが槍を前方に構えた。 この勢いではブラック・サバスは自らその槍に突っ込んでいってしまう。 しかし、ブラック・サバスは半歩体を横にそらすだけで、槍の直線的な軌道から外れた。 まるで闘牛士のように、ブラック・サバスの黒いマントがはためき、ワルキューレをひらりとかわす。 「なかなかやるね。でも!」 不敵に笑うギーシュ。実際彼の中ではもうルイズの使い魔をチェックメイトしていた。 2体のワルキューレのうち、動いていなかったほうがいつの間にか距離を詰めている。 そして今度は槍を突くのではなく、なぎ払うために構える。 もう横に逃げても意味を成さない。すでに必殺の間合いだ。 (勝った!第三部完!) ワルキューレが槍を横一線に振りぬく! しかし、その軌道上にやはりブラック・サバスはいなかった。 もう横に逃げるには遅すぎるし、突っ込んできている勢いがあるため後ろには飛べない。 だからブラック・サバスは前転するように頭から突っ込んでいったのだ。 回りから見たら単につまづいて、こけた様にしか見えなかっただろう。 (い、今こけてなかったら、首が飛んでたわよ!) ……ルイズもそう思っていた。 ブラック・サバスはワルキューレの足元で両肘、両膝をつき、四つんばいのポーズになっている。 正直、負けました許してくださいと土下座をしているようにも見える。 だが、ワルキューレは今度こそ止めを刺すために、槍を頭上に掲げる。後はコレを振り下ろすだけだ。 しかし先に動いたのはブラック・サバスだった。 ブラック・サバスは片手でワルキューレの腰布をめくり、もう一方の手をワルキューレの股の間に突っ込んだ。 「つかんだ!」 再びブラック・サバスは高らかに宣言した。 (な、な、な、な、何をやってんのよーー!!エロ犬ーー!) 今までで一番の意味不明の行動に、ルイズが声にならない心の叫びをあげる。 「なにをされてるんでしょうか?」 さっきまで戦いを恐々観戦していたシエスタが、少し顔を赤らめてキュルケに尋ねる。 「なにって…………」 「…………」 キュルケは苦笑するしかない。タバサは無言で見つめている。 回りからはブラック・サバスがワルキューレの股に手を突っ込んで、何かをまさぐっている様にしか見えない。 何をつかんだのかは分からないが、いろいろな考えが皆の頭に浮かぶ。なぜかマリコルヌが鼻血を出している。 これはルイズもまだ知らないことだったのだが、ブラック・サバスは影から魂を引き抜き動きを止める。 ルイズも2回それ体験していたのだが、魂を引き抜かれていたことには、気づくに至っていなかったのだ。 ……とにかくブラック・サバス本人はいたって真面目に、ワルキューレの影から魂を引っ張り出そうとしているのだ。 しかし何度やっても上手くいかない。影を触っているはずなのに、地面にガリガリ爪を立てるばかりだ。 ブラック・サバスも気づいていないことがあったのだ。ワルキューレが魂を持たぬ人形だということに。そして。 「僕のワルキューレに、なにハレンチなことをするだァーーーッ!ゆるさん!!」 ギーシュの怒りの叫びに合わせて、ワルキューレの槍がブラック・サバスの後頭部めがけて振り下ろされた。 「サバス!!!」 ルイズの悲鳴にも似た声をかき消す様に、ドゴォという鈍い音がヴェストリの広場に重く響いた。 To Be Continued 。。。。?